新たに認定取得をお考えの高等教育機関の方へ
技術者教育の質保証と改善、および学生の将来のために、JABEEの認定をご活用ください
社会は今、修了生が「何を身につけ、何ができるようになったか」という明確な学習成果を求めてきています。JABEEは、工学、理学および農学系の教育プログラムが、国際的に通用する知識と能力を身につけた技術者を育成しているかを審査し、認定します。 また、審査を通して学びの本質を見据えた教育改革をサポートします。
新たに認定の取得をお考えの高等教育機関の技術者教育プログラム(以下「プログラム」という)の関係者の方は、あらかじめ以下をお読みになって認定審査に関する基本的事項を理解され、ご準備いただくようお願いいたします。
教育プログラム認定の原則
- JABEEの認定・審査に関する基本的な枠組みに関して説明した「技術者教育認定に関わる基本的枠組」により、認定・審査の全体像をご理解ください。認定・審査は「認定・審査」に掲載された各種文書に記載された内容に従って実施します。
- 認定を受けようとするプログラムは、審査によりJABEEの認定基準に適合していると判断された場合に認定されます。
- プログラムの修了生がJABEEの認定基準に適合する教育を受け、目標の達成度が適切に評価されているかを確認して認定の可否が決定されます。この考え方に基づき、審査を受けることが可能になった時期にプログラムからの申請に基づいて「新規審査」を実施します。新規審査の実施が可能になる年度は、以下の2通りがあります。

- 審査では、プログラムが適切に履修生の学習成果(アウトカムズ)を評価しているか否かの確認が重要となります。全く新規のプログラムの場合には、初のプログラム修了生が出た(アウトカムズが確定した)翌年度以降に受審が可能となりますので、新規審査が受けられるのはプログラムの発足後5年目以降となります。(ケース1)
- 全く新規ではなく前身となるプログラムがあり、審査の前年度にそのプログラムを修了した「実質的修了生(注)」が存在する場合には、4年目に新規審査を受けることが可能です。(ケース2)
(注)実質的修了生とは、認定申請プログラムと実質的に同等の教育を受けて卒業した学生をいい、認定申請プログラムの修了に必要な知識・能力の70~80%程度以上が教育されていることを目安とします。実質的修了生は当該認定申請プログラムが認定されても認定プログラムの修了生とはなりません。
- プログラムの運用開始から5年目以降の新規審査によって認定された場合には、認定有効期間の開始年度を審査年度の前年度からとし、前年度の修了生から認定プログラムの修了生とするよう申請することができます。「認定・審査の手順と方法」の2.5.1項をご参照願います。)
認定・審査に関するプログラムの実施事項

(1)プログラムの構築と認定のための準備
認定の取得を計画されているプログラム関係者の方は、審査を受けるまでに以下の手順で準備されることをお勧めします。
1. プログラムの定義
- 認定を受けようとするプログラムの範囲を決定します。範囲としては、大学学士課程の場合、学科全体、学科内コース、複数の学科またはコースを合わせたものなどが考えられます。また、プログラムの認定種別と認定分野も決めておいてください。
- 決定したプログラムに関して、認定基準に適合するように技術者像、学習・教育到達目標、カリキュラム、シラバス、達成度評価基準などを整備します。
2. プログラムの運用開始
- プログラムの求める技術者像、学習・教育到達目標などを公開し、履修生(入学者)の受け入れを開始します。
- プログラム履修生とプログラムに関係する教員に対して、技術者像および学習・教育到達目標を周知し、カリキュラムおよびシラバスを開示します。
- 開示されたカリキュラムおよびシラバスに従って教育を実施します。
3. 審査に向けた点検・確認
- プログラムを運用しながら、PDCAサイクルを回して改善を行います。審査を受ける以前から自己点検書を作成し、定期的に更新していくことは、プログラムの継続的な改善のために非常に有効な取り組みです。
- ご希望により、認定分野の学協会が提供している講習会への参加、普及指導員による相談対応、助言を受けることができます(いずれも有料)。
4. 予備審査と暫定認定
- ご希望により、本審査(新規審査)より前にJABEEが実施している予備審査を受けることができます。予備審査では原則としてJABEEの認定基準のうち学習・教育到達目標の達成度評価を除いた項目についての審査を行います。これにより現状のプログラムを客観的に評価し、改善すべき点等を明確化して本審査に向けた準備をより効果的に進めることができます。予備審査の認定基準で定められた条件を満たすプログラムには「暫定認定」が与えられ、プログラム名が公表されます。「暫定認定」を公表することで、教育の質保証と継続的改善に熱心に取り組み、一定以上の水準に達しつつあることを社会に向けて明示することができます。予備審査に関しては、「予備審査と暫定認定」に掲載された文書類を参照してください。
(2)審査および認定
審査を受ける際には、「認定を受けるまでの流れと認定・審査のスケジュール」で公表されているその年度の審査スケジュールを確認し、以下の手順で審査を受けてください。
1. 認定審査の申請
- 初めて認定審査を受ける場合は、新規審査用の「認定審査申請書」を、公表された申請期間中にJABEEに提出してください(通常は毎年3月)。
- 認定審査を申請するにあたっては、「認定審査申請関連」に掲載された文書類を参照して、申請を行ううえで問題がないかをご確認ください。
2. 審査料の支払い
- 認定審査の申請が正式に受理されたら、その通知とともに審査料の支払いについてご案内を送付しますので、ご対応ください。審査料の詳細については、「審査料関連書類」に掲載しています。
3. 自己点検書の提出
- JABEEからの通知により、指定された期限までに自己点検書をJABEEメンバーページ(受審する年度に、プログラムの責任者等にアクセス権限が与えられます)にアップロードしてください。自己点検書の作成と提出に関しては、「自己点検書関連書類」に掲載された文書類を参照してください。
4. 審査への対応
- 審査団構成員の情報が連絡されますので、その構成員による審査を承諾するかどうか(いずれかの構成員に利益相反等の問題がないか)を回答してください。
- 審査団が決定したら、責任者の方は審査団長、主審査員または審査チーム派遣機関と調整して実地審査(遠隔調査、訪問調査および最終面談)の日程を決定してください。
- 実地審査までに審査団長や主審査員から送付された「プログラム点検書(実地審査前)」を使用して、審査団から示された自己点検書の内容に関する不明点を解消するとともに、実地審査の詳細計画を決定してください。
- 実地審査ではスムーズな進行にご協力ください。
- 必要な場合は、審査団から提出された「プログラム点検書(最終面談時)」に対する「追加説明書」、「プログラム点検書(実地審査後)」に対する「異議申立書」および「改善報告書」を決められた期限までに提出してください。
5. 審査結果の受領
- JABEEから審査結果の報告とともに、認定可の場合は、認定開始年度、認定有効期間および次回審査の種類と実施年度が通知されます。
- 認定を受けたプログラムには、JABEEから認定証が授与されます。
(3)認定取得後
認定を受けた際には、プログラムは以下の項目につきご留意ください。
1. 文部科学省のWebサイトで、技術士第一次試験の免除対象課程として公表されますので確認をお願いします。
2. プログラム修了生への対応
- JABEEから認定の通知を受け取った(通常は3月初旬)後は、プログラムの修了生に修了証を授与することができます。(なお、卒業までに修了証を渡すための準備期間を考慮し、JABEEから2月下旬に認定可否の内示が通知されますが、これは正式な認定の通知ではありません。)
- 修了生に対しては、認定による技術士第一次試験の免除、国際的同等性の担保などの効果を説明してください。
- 毎年の修了生の名簿を作成して、個々の卒業生が認定プログラムの修了生かどうかが明確になるように管理してください。
3. プログラムの継続的改善
- 認定を取得した後も継続的にプログラムを改善していくようお願いします(認定基準でも規定されている項目です)。
- JABEEでは適正なプログラムの運営が特定の個人の努力に任されるのではなく、仕組みとして保証され、これにより運営の担当者が交代しても教育の質が低下することなくプログラムが運営されることを求めています。前任者と交代した方が審査の直前になって初めて認定・審査について勉強するという状況は、決して好ましいことではありません。
- JABEEから認定プログラムへの連絡は、プログラム責任者宛てに行いますので、プログラム責任者が変更になる場合(連絡先の変更も含む)にはJABEEに通知してください。
4. 認定継続審査/中間審査
- 新規審査の結果により6年間の認定有効期間が認められた場合には、次回は認定継続審査を、それより短い認定有効期間となった場合には、次回は中間審査を受けて認定有効期間終了後に新たな認定有効期間を得て認定を継続することができます。新規審査の審査結果を報告する際に、次回の認定継続審査または中間審査の実施年度を連絡します。
5. 認定維持費
- 新規審査の年度を除く認定有効期間中は、毎年度JABEEに「認定維持費」を請求書に基づき支払っていただきます。
- 認定維持費の詳細については「審査料関連書類」に掲載された文書類を参照してください。
6. 年次報告
- JABEEから毎年度、年次報告書の提出依頼を行います。年次報告書はJABEEから提供されたWeb上の回答用フォームに修了者数、JABEE対応責任者、プログラム責任者、学内組織、プログラム名およびプログラム形態の変更の有無などを記入して送信してください。
- プログラムの内容や組織の大幅な変更が予定されており、認定プログラムの継続的運営や履修生・修了生の扱いなどについて判断にお困りの場合には、年次報告書末尾の「相談、確認」の欄にご相談されたい事項を記入してお知らせいただくか、直接JABEE事務局にお問い合わせください。
