キャンベラ協定


キャンベラ協定は建築教育認定団体の国際的協定です。2019年8月に開催されたキャンベラ協定総会でJABEEの正式加盟が承認されました。

キャンベラ協定とは

キャンベラ協定は建築教育認定団体の国際的協定です。1996年のUIAバルセロナ総会で採択された「UNESCO-UIA建築教育憲章」(UNESCO-UIA Charter for Architectural Education)に則って、世界各国の教育機関が建築教育を提供しており、同憲章に基づく全日制の5年以上の建築教育プログラムの質保証を行う仕組みとして、UNESCO-UIA建築教育認定評議会(UNESCO-UIA Validation Council for Architectural Education)による2段階のレベルの認定システムが開始されて、現在まで運用されてきています。このような動きと並行して、従前から教育認定の実績を重ねてきた諸国の認定機関は、2006年の円卓会議を契機に、その本質的同等性を相互認証していく方針を決定し、「キャンベラ協定(Canberra Accord)」が2008年に締結されて、2010年から発効しています。そして、2021年6月現在、JABEEも含めて10つの国と地域の教育認定機関が加盟し、その傘下で認定された世界各国400以上の教育プログラムを包括するプラットフォームへと発展してきています。

UNESCO-UIA建築教育認定からキャンベラ協定への移行

JABEEでは、2012年度認定基準による建築系学士修士課程認定の開設により、UNESCO-UIA建築教育憲章との整合性を高め、UNESCO-UIA建築教育認定評議会による機関認定(System Recognition)として正規認証を得て、同評議会が直接認定した教育プログラムとの本質的同等性が保証されてきました。

JABEEは、その後UNESCO-UIA建築教育認定システムによる認証を継続するのではなく、キャンベラ協定への加盟を果たしました。これまでの実績が評価されてJABEEは2014年にキャンベラ協定へ暫定加盟した後に、2015年に建築系学士修士課程受審の実地調査に合わせて審査団を受け入れ、実地審査が行われました。2016年のキャンベラ協定中間会議で加盟の審議が行われましたが、一部の基準への適合が明確ではなく、即時に正式加盟を果たすことができませんでした。この結果を受けて、JABEEではUNESCO-UIA建築教育憲章に建築教育の目標として示されている16項目を、分野別要件に組み入れて相互の対応を明確にする改訂を行いました。その後、審査団によって2回にわたる文書審査が行われ、2019年8月に開催されたキャンベラ協定総会でJABEEの正式加盟が承認されました。 JABEEは現在、複数の国際協定に対応した種別の教育認定を提供しており、組織や関連文書について、それらの種別に対応する階層的な構造を持っています。上記の文書審査過程では、建築教育の認定のみを行う他の加盟機関から見て分かり難い部分も見受けられたため、並行して改訂作業が進んでいた2019年度認定基準および関連文書においても必要な改善を行なっています。

キャンベラ協定による効用

JABEEのキャンベラ協定への正式加盟を受けて、JABEEの建築系学士修士課程認定を受けた教育プログラムは、他の国や地域の正式加盟機関から教育認定を受けた教育プログラムとの間で、UNESCO-UIA建築教育憲章に則った国際通用性のある認定プログラムとして本質的同等性が担保されることとなり、その相互認証による恩恵を受けることになりました。
教育プログラム自体の本質的同等性に基づいて、例えば、学生交換に伴う単位の移動やプログラム間の学生の移動などの場面で、質保証を伴うモビリティが提供できるというメリットが期待されます。また、資格システムにおけるプログラム修了生の扱いについても議論が進行しており、国や地域によってはキャンベラ協定傘下の認定プログラム修了生に限定した取り扱いを提供している事例も見られます。

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